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簡単な自己紹介
この記事では、インボイス制度が法人成りに及ぼす影響に触れつつ、フリーランスが法人成りするベストなタイミングについて紹介します。
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フリーランスが法人化するベストなタイミング
まずは結論です。
①売上高が1,000万円を超えた時
フリーランスは、1年間の売上高が1,000万円を超えた段階で、消費税の納税義務が2年後に生じます。法人の場合は、起業して最初の2年間は、消費税の支払いが免除されます。
なので、フリーランスになって売上高が1,000万円を超えてしまっても、2年経ったところで法人化すれば、さらに2年間消費税が免除されることになります。つまり、合計4年間消費税が免除されることになります。
②所得が900万円を超えたとき
次は所得税の観点で見ていくと、課税所得が900万円を超えそうなフリーランスは法人化を検討するベストなタイミングです。
フリーランスは確定申告後、所得税を納めます。この所得税は、累進課税方式という仕組みが採用されていて、課税所得が900万円以下だと所得税は23%、900万円を超えると33%、1,800万円を超えると40%、4,000万円を超えると45%という風に課税率がどんどん上がって行きます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円〜330万円 | 10% | 97,500円 |
330万円〜695万円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円〜900万円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円〜1,800万円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円〜4,000万円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円 | 45% | 479万6,000円 |
一方、フリーランスが法人成りした場合、支払う税金は所得税から法人税に変わります。法人税は、固定税率(最高23.9%)が適用されるので、課税所得が高ければ高いほど、所得税より法人税の方が納める税金は安くなります。
実際は、法人化した際の役員報酬の額によって多少前後しますが、課税所得が900万円を超えてくると法人税の方がお得になるなので法人化を検討しましょう。
フリーランスの法人成りにインボイス制度が及ぼす影響
インボイス制度=適格請求書等保存方式です。インボイス制度導入前までに法人化することで、最大2年間の消費税免税期間が適用されます。
しかし、インボイス制度が開始されると免税事業者は適格請求書を交付できません。そのため、事業者によってはこの消費税の免税期間がメリットにならない場合があります。
インボイス制度の下では、取引相手から事業者登録番号が明記された適格請求書が求められます。それがないと、取引相手は消費税の納税額から、仕入れや外注費にかかった消費税を差し引くことが認められなくなります。
つまり、適格請求書を発行できない消費税の免税事業者は、取引先や業務委託先から取引を断られたり、課税事業者になるよう求められたりすることが予想できます。
したがってインボイス制度が、開始される2023年10月1日までに法人化を行い、免税期間を活用することがおすすめです。
また、インボイス制度が開始されると消費税の申告方法や納付方法が変わります。法人化する予定がある事業者は、事前に法人としての準備にもなるため、早めに法人化することがおすすめです。
ちなみに、インボイス制度の下で免税事業者が取れる選択肢は以下の3つです。
免税事業者の選択肢
- 取引が減ってしまうのを覚悟で、免税事業者のまま事業を続ける
- 課税売上高が1,000万円未満のままでも「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、消費税の課税事業者になる。今まで必要のなかった消費税の申告と納税を行う
- 売上を増やして消費税の課税事業者になり、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する

フリーランスが法人化するメリット
フリーランスが税金や事業面で法人化するメリットは以下の通りです。
①社会的信用が上がる
フリーランスは、クレジットカードや賃貸審査に落ちてしまうなど、社会的信用が低いことが一つのデメリットとしてあげられます。
- フリーランスという理由で融資の審査に落ちてしまった
- 取引先から、法人化しないと契約しないと言われてしまった
など、社会的信用が低いという理由で、事業の拡大が阻害されることがあります。
今後、取引企業を増やし、融資を引いて事業を継続的に拡大していきたいと考えているフリーランスは、必ず法人化しておきましょう。
②2年間消費税の支払いが免除される
前述の通り、法人化して最初の2年間は、消費税の支払いが免除されます。
フリーランスとしての売上高が1,000万円を超えてしまっても、2年経ったところで法人化すれば、さらに2年間消費税が免除されることになります。
つまり、合計4年間消費税が免除されることになります。
③決算期を選べる
フリーランスの場合、決算期は12月です。また確定申告、納税は2月15日〜3月15日までに行わなくてはなりません。「1年で一番忙しい時期になぜ?」と頭を抱えたことのある方も多いのではないでしょうか?
しかし法人であれば、決算期を自由に設定することができ、後から変更することも可能です。そのため、決算期は事業の繁忙期を避け、閑散期に済ませることができます。
税金の支払いが重なって資金繰りが大変・・という事態に陥らないように、入金の多い時期に税金を納付できるよう、決算期を調整している法人もあります。
④退職金・役員報酬を経費にできる
法人になると、役員に対する役員報酬や退職金は損金算入できます。
フリーランスは退職金を支払うことはできませんが、法人であれば自分や家族の役員に退職金を支払うことができ、節税につなげることができます。
⑤賠償範囲を制限することができる
個人事業主は、経営が悪化した際の仕入先への未払い・金融機関からの借金・滞納した税金などが個人の債務となります。
しかし、法人(株式会社や合同会社)になると、個人保証が付与された借入を除いて、責任は出資額に限定されます。このように賠償範囲を制限できるのは、法人化だからこそのメリットといえます。
⑥赤字(欠損金)を10年間繰り越すことができる
個人事業主も法人も共通して、欠損金を繰越できる制度があります。
青色申告を行っている個人事業主は、赤字を翌年以降に持ち越して翌年以降の事業所得と相殺でき、繰越期間は3年間です。
それに対して、法人の場合は欠損金の繰越控除期間が10年間(一部の事業年度では9年間)認められています。もし大きな赤字が発生してしまった場合、繰越控除の期間が短いと十分に活用できない可能性があるので、節税の面において法人化のメリットは大きいといえます。
フリーランスが法人化をするデメリット
もちろん、デメリットもあります。
①赤字でも税金の支払い義務が生じる
フリーランスは、年間収入が赤字だと税金を支払う必要はありませんが、法人の場合、会社の利益に関係なく、毎年7万円ほどの均等割を支払う必要があります。
フリーランスだったころと比べると、事業の収支に余裕がある時は大丈夫だけど、厳しくなってくると税金の支払いがきつくなるとおっしゃる経営者は多いです。
②社会保険への加入する必要がある
法人化した場合、本人も含め、加入要件を満たす全ての従業員を社会保険に加入させる必要があります。社会保険料は、半分は本人もしくは従業員が負担、残りの半分は会社が負担することになります。
会社の経費で経営者や家族が社会保険に加入できるというメリットがある反面、負担も大きいです。
③会計や事務手続きなどが増える
個人事業主の場合、複式簿記で帳簿付けを行って青色申告で確定申告すれば、最大65万円の特別控除を受けられます。とはいえ、簿記の知識が求められる複式簿記は若干ハードルが高いためか、簡易簿記での帳簿付けで青色申告や白色申告で済ます人も少なくありません。
しかし、法人化したら、会計処理の複式簿記による記載はマストです。企業の財政の状況を把握する財務諸表(BS/PL/CS)について理解し、決算報告に向けて準備を進めておかないといけません。
個人事業主であれば「会計・税務の理解にリソースを割いて節税するよりも、本業のために時間を使って稼ぎたい」という考え方もありますが、法人化するのであれば会計や経理への理解は必須といえます。
④設立コストがかかる
法人化する場合、法務局に設立登記申請に行かなくてはなりません。
また、登記の際には、株式会社の場合、登記代、印紙代だけで24万円ほどの費用がかかるうえ、書類一式を揃えたり、出資金を準備したりと、かなり手続きに時間を要します。
書類は国税局のホームページなどでダウンロードでき、ハウツー本も多数出ていますが、司法書士や行政書士、税理士などにすべての手続きをお願いすることも可能です。ただ、その場合は追加で10万円前後の費用がかかることを認識しておいてください。
⑤毎月の給与が固定される
フリーランスは案件を受注すればその分収入を増やせますが、法人ではあらかじめ決めた金額が毎月の給与となり、自由に変更できません。
変更できるのは翌年度からのため、会社の利益が急激に上がったとしてもすぐに自分の収入にならないことを把握しておきましょう。また、赤字の場合も同様のため、税金の支払いがかさんでしまう点に注意が必要です。
フリーランスが法人化するためのステップ
ここからは、法人化するための8つのステップを紹介します。
①設立手続き
株式会社を設立する場合、会社の設立準備を進める発起人の決定からスタートします。社名、事業内容などの基本事項を決め、定款を作成します。
②設立登記の申請
本店所在地管轄の法務局で設立登記の申請を行います。申請書、定款、印鑑証明、資本金振込が証明できる通帳のコピーなどが必要です。
③法人名義の口座の作成
法人名義の口座開設に必要な書類は、銀行によって異なります。各銀行のWebサイトに法人口座開設の案内が載せられているので、開設前に確認すればスムーズに手続きできるでしょう。
近年、法人名義の口座を使った振込詐欺などの犯罪が増加してきたため、法人口座開設の審査が厳しくなってきているようです。審査に時間を要する場合もあるので、登記事項証明書を発行してもらったら、速やかに口座を開設するようにしましょう。
④取引先への周知
開業したばかりのころは、今までお付き合いのあった取引先にお世話になることが多いもの。個人事業主のころからのクライアントをはじめ、元同僚、知人友人まで、開業の案内を出しておきたいところです。
取引先への案内には、次の項目を記載します。
- 社名、屋号
- 開業日時、オフィスの所在地
- 電話番号、メールアドレスなどの連絡先
- 事業内容の詳細
社名や連絡先、事業の詳細などが正確に伝わるようにしてください。
⑤役員報酬を決める
会社設立から3ヶ月以内に、役員報酬=給料を決める必要があります。その金額は、事業年度が終わるまで変更できないので、売上額をしっかり見越して決定しましょう。
⑥諸官庁への届け出
会社を設立したら、諸官庁への届出を行います。税務署では国税関係、税務事務所では地方税関係の届け出を行います。この手続きが終わってようやく、会社設立について公に知らせたことになります。
また、無事に法人設立や資産移行が完了したら、最後に個人事業の廃業手続きを行います。
具体的には、以下の書類を税務署に提出します。
- 個人事業の開業届出・廃業等届出書
- 青色申告の取りやめ届出書 ※青色申告をしていた場合
- 事業廃止届出書 ※消費税を支払っていた場合
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書 ※従業員を雇っていた場合
廃業した年度のフリーランスとしての所得については、別途確定申告を行う必要があるので注意が必要です。
⑦健康保険・年金の手続き
社会保険、すなわち厚生年金と健康保険への加入は、従業員が1人以上の法人に義務付けられています。会社設立後は、すみやかに管轄の年金事務所で加入手続きを行うようにしましょう。
⑧資産と債務を移行する
法人設立が完了した後は、資産と債務の移行が必要です。資産は「売買契約」や「現物出資」、「賃貸借契約」などの方法で移行します。
債務を移行する際の方法は、「重畳的債務引受」「免責的債務引受」の2種類です。
フリーランスの法人化に関するよくある質問【Q&A】
最後に、フリーランスの法人化に関するよくある質問をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
①法人化した場合、どのように納税期限や決算期を調整することができますか?
法人化した場合、決算期、法人税の納付期限は税務署に届け出ることで調整できます。
②法人化する際の手続きや開業に必要な費用はどの程度かかりますか?
法人化するためには、登記費用や手続きにかかる費用、顧問弁護士や税理士の費用などがあります。総額で数十万から百万円程度がかかるケースが多いです。
③個人事業主として保有していたものはどのような扱いになりますか?
個人事業主として保有していたものは法人化後も引き継ぐことができますが、所有者が法人に変わるため、扱いには注意が必要です。また税務面などでも留意が必要です。
④法人化後、社会保険料が必要になるとは具体的にどのくらいですか?
法人化後、社会保険料は従業員の人数や報酬、保険内容によって異なりますが、年間で数百万円を見込んでおく必要があります。
まとめ:フリーランスはベストなタイミングで法人化しよう
会社設立準備から登記手続き、諸官庁への届け出など、ずらりと並べると「やっぱり大変そう」と思う方もいるでしょう。
実際に個人事業主から法人化(法人成り)した経験を持つ人の多くは、司法書士や税理士など、プロの手をうまく借りながら何とか乗り切っているようです。
法人化を検討している個人事業主の方は、本記事で紹介したメリット・デメリット、さまざまな意見をぜひ参考にしてみてください。
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